阪神タイガースは昔、「暗黒の時代」と言われた、とても弱い時代が十年単位で何度もありました。
それでもファンはあきらめずに甲子園に通いました。
そのころ、関西には阪急ブレーブス、南海ホークス、近鉄バッファローズという強い球団があり、狭い地域に4球団がひしめきあってました。その中でも、阪神電鉄は沿線30キロ少しの小さな電鉄会社です。それにもかかわらず、一生懸命タイガースを支え、マスコミもファンと一体になってあきらめずに応援しました。
するとどうでしょう、強い弱いに関わらず今では日本一の観客を集めてます。
地方遠征(ビジター)でも、本拠地チームの観客より阪神の観客が多いことがよくあります。
選手も飛び抜けたスターはいません。
選手の顔は、ご存知のように「阪神顔」ばかりで、情けない限りです。
球場に駆けつけるファンにいたっては、30年も昔のバースや掛布、最近の選手ですが浜中や新庄のユニフォームを着て応援してます。はたから見たら「アホちゃうか」という感じですが、彼らは一生懸命です。(新しく買う金がもったいないのかもしれませんが)
実は私は10年ほど仙台に住んでましたので東北や仙台の地域性が少しはわかりますが、かつて、プロサッカーやプロ野球(ロッテ)が仙台にフランチャイズして成功した試しがありませんでした。熱しにくく冷めやすいのでしょう。
星野さんが阪神に来て驚いたことが2つあったそうです。
野村元監督が最下位阪神を受け継いだとき、我々は大いに期待しました。悪くても万年最下位脱出やなあ、と思ったものでした。ところが結果は3年連続最下位。そのあと、星野さんが監督になってのシーズン初め、球場のファンの声援が聞こえたそうです。「星野!今年はとりあえず5位でええんやで!5位でええんや」。この時、彼はファンの哀愁と必死さを身にてしみて感じたそうです。
2つ目は、星野さんが喫茶店に入っても、飲み屋に入っても、いろんな人からおおむね「昨日の試合は、あそこでピッチャー交代やったで」「なんで、あの時送りバントさせんかったんや」「あの選手は将来性あるから我慢して使いや」、など阪神のファンはみんな監督になった気分で気楽に声を掛けられ驚いてました。阪神ファンは今でも(昔から)みんな監督目線なのです。
もうひとつ、元阪急の福本豊さんが言ってましたが、阪急ブレーブスが優勝しても「客が増えないのはなんでやろか」、と球団フロントに聞いたところ、 「もっと強くなって何度も優勝したらええんや」と言われ、「がんばって何連覇もしたけど、結局客は増えんかった」と言うてました。
宮城県の人たちも、阪神のファンに見習って、今の弱い楽天ゴールデンイーグルスをあきらめずに応援してください。恥も外聞もなく、10年間ダントツの最下位でもあきらめずに応援する覚悟がなければいけません。弱い球団を愛して育てる覚悟がなければいけない、ということでしょうか。
蛇足ですが、甲子園球場は今でこそ全国的に有名ですが、本当は戦前に京阪電鉄が甲子園より大きな球場を作る計画があり、そこに高校野球を持ってくる予定でした。ところが経営者判断で、路線開発に重点を置いたため、球場建設は頓挫してしまい、高校野球は甲子園球場で行なわれるようになりました。
追伸:「阪神顔」とは思わず笑ってしまう情けない顔のことです。選手名鑑はさしずめ、動物図鑑のようでした。
数十年前、「平田、岡田、掛布」が二・三遊間を守っていたとき、相手の巨人の選手がバッターボックスに立って、思わず二・三遊間に目が行き、笑ってまともに打てなかった、というエピソードがあります。
伝統的に、生え抜きの選手は「阪神顔」が多いのです。(ジャガイモ系、南京カボチャ系など)
どちらかというとマー君がこちら系です。阪神の現役で言うと一二三(ひふみ)、野原、榎田がビンゴ!。それを超えたのが、楽天から来た藤井かなあ・・・
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